Salesforceのリレーションの関係と標準オブジェクト

Salesforce リレーションの関係

Salesforceではデータのリレーションを2つの方法で持つことができます。今後の模擬問題でも複数回出てきますが、

強いリレーション関係:主従関係

弱いリレーション関係:参照関係

主従関係のリレーションを結んでいる場合、主レコードが削除されると、リレーションを持つ従レコードも削除されます。主従関係は親子関係とも言われ、親の存在なしに子は存在し得ない(生まれない)と覚えるといいでしょう。ちなみにもう一つのリレーション「参照関係」の場合は主レコードが削除されても従レコードは削除されません。

オブジェクト

「オブジェクト」とは、一言で表すとSalesforceの中核を担う”データの箱たち”のことを指します。(「object」を直訳すると”物体”という意味ですが、IT業界では”データの集まり”という意味で使われることがあります。)

Salesforceの根本的な用途は、顧客情報を蓄積・管理するところにあります。そのため、データ基盤が中核を担っており、それらを活用するための多様な機能が備わっています。

データ基盤の中には個人や企業、商談などの様々な種類のデータが格納されるわけですが、それらを使いやすくするためにグルーピングした箱が「オブジェクト」です。

後述しますが、取引先の企業情報を格納する「取引先」オブジェクトや、商談の内容や進捗を管理する「商談」オブジェクトなどが存在します。

オブジェクトの中身

オブジェクトの中身は、エクセルと似ていると捉えることができます。まず、オブジェクト自体が、エクセルで言う「シート」にあたります。

顧客情報用のオブジェクトであれば、エクセルの「列」にあたる考え方で、氏名や役職、電話番号などの情報を格納していきます。(Salesforceでは「項目」と呼びます。)
そして、エクセルの「行」の考え方で、一人ひとりの情報を格納します。(Salesforceでは「レコード」と呼びます。)

言い換えれば、Salesforceの中核はエクセルのようなデータテーブルの集まりだと比喩することができます。

主要なオブジェクトのイメージ

数あるオブジェクトの中でも、まずは基礎的な部分だけをピックアップして解説します。
先にここを抑えておくことで、他のオブジェクトの存在意義が理解しやすくなります。

※各オブジェクトの詳細については後述します。
※他のオブジェクトも含めた「全体像」は、このページの末尾にてご紹介しています。

「リード」オブジェクトに見込み客の顧客情報を格納。商談が開始したら、その方のリードレコードを「取引先責任者に」昇格(移動)させる。その際、その方が所属する企業・法人の情報は「取引先」に、商談の情報は「商談」に記録する。

商談前

Salesforceでは様々な種類のデータを扱う訳ですが、サービスの特性上、一番肝となるデータは利用企業が集めた顧客情報です。

まずはそれらを「リード」というオブジェクトに格納していくところがスタートです。お客様の会社名や氏名などの様々な項目を、1人=1レコードの形で管理する仕様になっています。

(商談が発生する前の顧客情報は、そのままシンプルに登録できたほうが便利、という考え方です。)

商談開始後

「リード」のうち、商談が発生したお客様は「取引先責任者」にオブジェクトを移動させます。

そして、その方が所属する企業の情報は「取引先」という別のオブジェクトで、商談の情報は「商談」というまた別のオブジェクトで管理します。

このように、個人/企業/商談の情報を別々のオブジェクトで扱います。一見複雑に感じるかもしれませんが、お互いが結び付き合っているため、1企業に対して複数の担当者や商談が存在する場合でもスマートに管理できます。

オブジェクトの種類

顧客情報

リード
見込み顧客のイメージ画像

「リード」とは”見込み客”を意味する英単語です。名前の通り、Salesforceの基本的な使い方としては、この「リード」オブジェクトに見込み客の情報を格納します。例えば自社にお問い合わせされたお客様や、キャンペーンに応募されただけのお客様などです。

※それらの顧客情報を毎回手動で「リード」に入力するのは手間ですが、Webからの問い合わせをSalesforceに自動登録することも可能です。

言い換えると、「リード」オブジェクトは、マーケティングや営業などのアプローチをかけるべき”顧客リスト”とも表現できるでしょう。(低コスト・低工数で実行できるマーケティング施策を「Salesforceを使ってメールマーケティングを行う方法」でご紹介しています。)

取引先責任者

「リード」のうち、商談が発生したお客様の情報を格納するオブジェクトです。(契約が成立した後の”既存顧客”も管理するケースが多いです。)

商談が発生した際、そのお客様の「リード」レコードを「取引先責任者」に移動させます。(操作は簡単です。)

「リード」本人の氏名や部署名、役職名などはそのまま引き継ぎますが、所属企業の名前や住所などは「取引先」オブジェクトで管理します。

取引先

商談中の企業や既存企業、パートナーなどの情報を管理するオブジェクトです。

1つの「取引先」レコードに対して複数の「取引先責任者」レコードを登録できるため、担当者が複数いてもスマートに管理できます。

また、企業名が変わったり住所が移転したりしても、1つの「取引先」レコードのみ修正すればいいので便利です。

リードは評価されると取引先責任者、取引先、商談に変換します。そのため、リードの項目を対応付けできるオブジェクトも以上の3点となります。

活動情報

お客様と対話しているイメージ画像

Salesforceでは、お客様が”どのような人か”だけでなく、お客様と”何があったか”という情報も管理することができます。

以下にて代表的なものを4つご紹介しますが、いずれも前述の顧客情報に紐づけることが可能です。つまり、Salesforceはお客様との”5W1H”を総合的に管理できるサービスなのです。

商談

名前の通り、商談の情報を格納するオブジェクトです。具体的には、”誰に/何を/いくらで提案していて、どのくらいの確率で/いつ契約が決まりそうか”といった内容を管理します。

営業担当が自身の商談を管理できるだけでなく、社内で共有したり、売り上げの予測を立てたりするのにも便利です。

キャンペーン

いわゆる「割引キャンペーン」などを管理するのにも使えますが、他にも展示会やセミナー、Webページなど、お客様が”何をきっかけに自社と接触したか”を管理できるオブジェクトです。

顧客情報と結びつけることができるので、キャンペーンごとの効果分析を行ったり、個別にマーケティング施策を実行したりできます。

ケース

お客様からのお問い合わせ内容を格納します。主にコールセンターやカスタマーサポート系の部署で活用されます。

具体的には、誰が/いつ/どの問い合わせに/どのように回答したか、といった情報を管理します。社内での進捗管理・ナレッジ共有に役立ちます。Webからの問い合わせをSalesforceに自動登録することも可能です。

Todo

Salesforceの利用ユーザに設定するタスクです。”誰が/いつ/どのお客様に/何をするべきか”を登録しておきます。

日付が近づくとアラートを出すことができます。また、終わったタスクも履歴として残りますので、これまでのお客様とのやりとりを忘れずに済みます。

その他

カスタムオブジェクト

これまでご紹介してきましたオブジェクトは「標準オブジェクト」と呼ばれ、Salesforceにデフォルトで用意されているものです。一方「カスタムオブジェクト」は、用途に応じて自由に作成できるデータの箱です。詳しくは「カスタムオブジェクトの基礎と活用方法」へ

例えば、「リード」には入れたくない特別な顧客情報や、アンケートの回答結果を格納するのに便利です。

ユーザ

お客様の情報や行動履歴を管理するオブジェクトではなく、Salesforceにログインできる社内の担当者を登録するものです。

担当者ごとに、必要な権限を付与することができます。また、「リード」や「商談」などに対して、担当の「ユーザ」を設定することが可能です。

備忘録がてら、Salesforce標準オブジェクト一覧、Salesforce標準オブジェクト早見表を作成しました。

参考資料

以下を参考にさせて頂きました。

Salesforce SOAP API 開発者ガイド

標準オブジェクト早見表

標準オブジェクト名英語表記 (API参照名)標準オブジェクトの利用用途、オブジェクトに保存するデータの例
取引先Account取引先の企業情報、競合会社、パートナーなどのビジネスに関係する組織や個人に関係する情報を保存します。
取引先責任者Contact取引先の担当者や顧客の個人情報を保存します。
リードLead見込み顧客情報、見込み商談情報を保存します。
ケースCase顧客からお問い合わせ、質問等を保存します。
キャンペーンCampaignダイレクトメールによる販売促進、Web セミナー、展示会など、マーケティングキャンペーン情報を保存します。
活動予定OpenActivityオブジェクトに関連する活動予定(将来の行動や未完了のToDo)を保存します。
商談Opportunity販売または保留中の取引である商談情報を保存します。
商談商品OpportunityLineItem商談対象の商品情報を保存します。
納入商品Asset商談が成立し、顧客へ納入した商品情報を保存します。
契約Contract取引先に関連付けられた契約情報、業務上の合意情報を保存します。
注文Order契約または取引先に関連付けられた注文情報を保存します。
ソリューションSolution顧客の問題とその問題の解決策についての詳細な情報を保存します。
商品Product2Salesforce組織で販売している商品情報を保存します。
価格表Pricebook2Salesforce組織が販売する商品のリストを記載した価格情報を保存します。
アイデアIdea既存の商品またはプロセスに対する拡張の提案など、ユーザがコメントまたは投票できるアイデア情報を保存します。
アイデアのテーマIdeaThemeアイデア(Idea)の大まかな主題を定義します。例えば、商品に対する改善要望、システムの操作方法に対する改善要望といった、アイデア投稿時のテーマを定義します。
投票Voteアイデア(Idea)に投票したアイデアタイトルをはじめ、投票情報が保存されます。投票オブジェクトの参照関係から、アイデアに投票したSalesforceユーザ情報の参照などを行えます。
納入商品Asset顧客が購入してインストールした商業価値のある項目(会社または競合他社が販売した商品等)の情報を保存します。
ユーザUserSalesforce組織のユーザアカウント情報を保存します。
ToDoTask営業活動などのToDo情報を保存します。
行動Event営業活動などの日々の行動情報を保存します。
オブジェクト共有設定{オブジェクト名}Share (例: AccountShare, ContactShare等)オブジェクトの共有設定を格納しているオブジェクトです。オブジェクト単位でShareオブジェクトが存在します。カスタムオブジェクトを作成した場合、自動的に{カスタムオブジェクト名}Shareオブジェクトが作成される。
ナレッジKnowledge__kav各種FAQやナレッジを登録します。
添付ファイル情報(ContentDocument)ContentDocumentSalesforceの取引先などの「ファイル」に添付した添付ファイル名などの情報が登録されます。
添付ファイル情報(ContentVersion)ContentVersionSalesforceの取引先などの「ファイル」に添付した添付ファイルのバージョン情報などが登録されます。
添付ファイル情報(ContentVersion)ContentDocumentLinkSalesforceの取引先などの「ファイル」に添付した添付ファイルのリンク情報などが登録されます。

以上になります。

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